【10000字で振り返り】星野源がNHKで「J Dilla」を語る番組『星野源のおんがくこうろん』放送内容まとめ

星野源がNHKで「J Dilla」を語る番組『星野源のおんがくこうろん』が素晴らしい内容だったので、放送内容をまとめておきます。

目次

見逃し配信

NHK+での見逃し配信がありましたが、すでに配信は終了しています。

放送内容はこの記事に全て載せていますので、文字だけにはなりますがお楽しみください。

オープニング

BGM:星野源「Pop Virus」

アニメ映像に星野源のナレーションが重なるオープニング。ここには体調不良で出演を断念したシホかいせついんパペット(渡辺志保)の姿が。

当然ながら出演者は事前予告通り。

  • ホスト:星野源
  • 進行:林田理沙アナウンサー
  • 解説員:ヨシかいせついん(高橋芳朗 – 音楽ジャーナリスト)
  • 解説員:トシかいせついん(大和田俊之 – 慶應義塾大学教授)

J・ディラの紹介

Video:ディラのインタビュー映像

J Dilla

俺はCDを作っている 24のビート入りだぜ
(YouTubeでそのシーンを観る)

【感想】いきいきと語り、手際良くMPCを操るディラの姿に早速ブチ上がる私。

BGM:J Dilla「Workinonit」

ディラの紹介ナレーション

ナレーション

・デトロイト出身のビートメーカー
・斬新なサンプリングテクニックで唯一無二のビートと作り上げた

Video:The Pharcyde「Runnin’」
Video:Erykah Badu「Didn’t Cha Know」
Video:A Tribe Called Quest「Find A Way」

ディラの紹介ナレーション(続き)

ナレーション

・90年代後半からヒップホップやR&Bを中心に数多くの名曲をプロデュース
・今も世界中の音楽家に影響を与え続けている

【感想】ここでのエリカ・バドゥは意表を突かれた!けど、このあとディアンジェロについて触れることを考えると、その他のR&B仕事で一番のメジャーどころはバドゥになるかと思うので納得。Janet Jackson「Got Til It’s Gone (Remix)」にビデオがあればそっちだったかも?(でも、あのリミックスは曰く付きだからな…)

Video:ディラのインタビュー映像

J Dilla

空気感を表現したいんだ。
(YouTubeでそのシーンを観る)

ディラの後ろで「イェー、イェー」と相槌を打つコモン(Common)の声も。

BGM:J Dilla「Last Donut of the Night」

ディラの紹介ナレーション(続き)

ナレーション

・難病により32歳という若さでこの世を去った
・死の間際まで理想の音を追い求めた
・まさにビートの求道者

スタジオに戻り、星野源のコメント。

星野源

このNHKでJ・ディラのことを話せる、そして動いてる姿が見れるというのは非常にうれしいですね。

【感想】本当に嬉しいよ!ありがとう星野源!ありがとうNHK!

AKAI MPCの紹介

スタジオに設置されたAKAI MPC2000XLが J・ディラが使用していた機材として紹介される。

星野源がパッドを叩き、ドラムパターンを演奏するも、真横からの操作となり失敗気味に終わる。

【感想】星野源の指さばきは割とスムーズだったけど、ここは何としてでもJ Dillaの愛機であるMPC3000を用意してほしかった。

星野源がJ・ディラを取り上げた理由

林田アナにディラを取り上げた理由を聞かれ、星野源が答える。

星野源
星野源
  • もしディラが音楽をやっていなかったら僕はここから消える
  • さらにいろんな音楽が、かなりの数の曲が消える
  • それぐらい影響を与えているアーティスト

星野源が「ディラがいなかったら僕は消える」というほど影響を受けていたとは。想像以上でした。

ディラを知ったきっかけ

続けて、ディラを知ったきっかけを聞かれ、星野源が答える。

星野源
星野源
  • スパイクジョーンズ(Spike Jonze)という映像作家が大好きだった
  • 彼が監督したMVがたくさん入ったDVDにファーサイド(The Pharcyde)の「Drop」という曲のMVがあってその曲が好きだった
  • そのトラックを作ったプロデューサーがディラだった

そのDVD(特典映像には「Drop」のメイキングも入っているのか… 見たいな)

ヒップホップ畑出身ではない星野源がスパイク・ジョーンズをきっかけにディラを知ったというのは面白いエピソードでした。

The Pharcyde「Drop」について

Video:The Pharcyde「Drop」

星野源
星野源
  • 最初に映像の不思議さに驚き、どうやって撮っているんだろうと思った
  • そこから楽曲がかっこいいことに気付きはまっていった

「Drop」のビデオを見終えた星野源のコメント。

星野源
星野源
  • カッケー
  • すごいシンプル
  • キックとスネアとハイハットと「ドゥ〜ドゥ〜」ってメロディーぐらいしかない

ヨシかいせついんの「曲のある一部分を抽出し、それを逆再生したものをループしている」というコメントに対し、星野源がさらにコメント。

星野源
星野源
  • 逆再生的な音にベースを別で入れている
  • 逆再生だからコードがどこで切り替わっているのか分からない
  • その切り替わりポイントの不思議さがリズムを面白くしている
  • なおかつベースを入れていき、上のコードに下のベースが重なることによって分数コードになり、コード感がどんどんチェンジしていく
  • シンプルなのに飽きない曲になっていてすごく好き

サンプルの抜きどころやフリップの巧みさからディラビートのすごさについて語る人は多いですが、星野源はコードについて触れました。星野源がディラを語る意味がここにあったと思います。

ビートメイクの実演解説

mabanuaが自宅スタジオからMPCについて説明(VTR)

mabanua
mabanua
  • ディラが主に使っていた音楽機材
  • 音源を取り込んでパッドに割り当て、楽器のように演奏するサンプラーという機材

mabanuaカスタムカラー、薄緑のMPC2000XLが可愛い。

mabanuaがパッドを叩いて音を鳴らす。

  1. ドラム単音
  2. チョップした鍵盤のパーツ
  3. シーケンスを組んだドラムループにリアルタイムでフリップした鍵盤の音色を乗せる

このシーンを見て、ビートメイクを始める人がいたら嬉しい!!

3万円でMPCが買える、なんて恵まれた時代!

「揺らぎ」の解説

mabanuaが「揺らぎ」について説明。

クオンタイズありとなしのビートを流して比較。

mabanua
mabanua
  • ディラはクオンタイズ(音のタイミングを自動的に揃える機能)をあまり使わなかった
  • 使うのと使わないとでは全然違う
  • これが人間的なノリと言われる、ディラの秘密「揺らぎ」

mabanuaの解説でクオンタイズありとなしを聴き比べる展開は『関ジャム』っぽかったですが良いシーンでした。うちの娘たちも「お〜!全然違う〜!」と言って喜んでいました。

BGM:J Dilla「Gangsta Boogie」

「揺らぎ」について説明(続き)

mabanua
mabanua
  • 一つの音を聴いたら、次のタイミングで「こういう音が鳴るだろう」と想像しながら聴くが、意図していないタイミングで次の音が鳴り出すので「あれ?」と気持ちが揺さぶられる
  • それが良い意味の違和感となり気持ち良くなる
  • 本来音楽は少しずつずれているから気持ち良い
  • それをビートメーカーとしてMPCを使って大げさにやったのがディラ

Sound & Recording Magazine、2012年12月号にMPCの特集があって、

そこで誰かが『Jay Deeのスタジオ作業を見たけどクオンタイズは使ってて、後から手動で絶妙にずらしてた』と言っていたような。(別の情報とごっちゃになってたらすいません)

アンプフィドラーとの出会い

BGM:J Dilla「E=MC2」

10代のディラがアンプフィドラーに「このMPCを使え。想像力次第で何だってできる」と言われたエピソードを林田アナが紙芝居で紹介。

トシかいせついんが補足する。

トシかいせついん
トシかいせついん
  • アンプ・フィドラーは非常に偉大なキーボード奏者でプロデューサー
  • 70年代ソウル・ファンクから90年代以降のヒップホップを橋渡しする存在
  • 近所の子どもたちを集めて自分のスタジオを使わせていた
  • その中でもディラは一番礼儀正しい子だった
  • ディラはアンプからMPCについて学んだと言われているが、アンプはビートを流す姿は見せても「どうやって作るかは自分で考えろ。本を読んだり調べたりせず自分でやれ」というスタンスだった

それを聞いた星野源がコメント。

星野源
星野源

ヒップホップはこうじゃなきゃいけないみたいな縛りみたいなものがあまり生まれにくかったのかもしれないですね。

Amp Fiddlerの名前が出ました!「師匠」という表現は適切だったのかな?

ディラのサンプリングネタ選び

次はディラとワジード(Wajeed)がレコード屋に行った時、ディラが熱心に試聴するレコードに対してワジードが「そのレコードでできることは何もないぜ。クズみたいなレコードさ」と言ったエピソード。

ヨシかいせついんが補足する。

トシかいせついん
トシかいせついん
  • ディラのサンプリングに対する美学を象徴するエピソード
  • クズみたいなレコードと忠告を受けたレコードをサンプリングして素晴らしく美しい曲を作り上げた
  • その曲のタイトルが「クズ」を意味する「Trashy」

Play:Jay Dee「Trashy」

星野源
星野源

最高ですね。元々のレコードが全然よくなかったというのがあんまり想像できないですよね。

まさかこのエピソードが聞けるとは…

改名する前の”Jay Dee”名義でリリースされている『Vintage: Unreleased Instrumentals』というビート集。そのCD盤にのみ収録されている「Trashy」(同タイトルのアナログ盤には未収録)

左:アナログ盤、右:CD盤

元ネタは Stanley Cowell Trio「Maimoun」の4分30秒辺りにある、ゆらゆらと奏でられるピアノの音色。ワジードが使えないと思ったネタをディラは見事にフリップし、流麗なループに仕上げた。

ディラの死後、2012年に発売された『Rebirth Of Detroit』というアルバムには「Trashy」のビートにフルートの演奏を乗せた「Requiem」という曲が収録されており、タイトル通りディラに捧げられた感傷的な曲に生まれ変わっている。

BGM:J Dilla「So Far To Go」

ヨシかいせついん
ヨシかいせついん

ディラはたくさんのレコードをじっくり入念に試聴した上で厳選した一枚を購入してたみたいです。

星野源
星野源

もしかしたらこんなの作りたいというのがもうあったのかもしれないですよね。

「試聴しながら脳内でビートを組み上げていたのでは?」という話は、ブッダブランドのデブ・ラージも同様に語られることがありますね。

JaylibのパートナーでもあったMadlibは、ディラとは対照的にレコードを爆買いするタイプだったという話もあります。

この辺りの様々なエピソードは、この本でたくさん知ることができます。

アルバム『Donuts』についての解説本と思われがちですが、ディラの生涯を振り返る構成になっているんですよ。

元ネタ聴き比べ

ディラのビートがいかに独創的か、元ネタと聴き比べて体感するコーナー。

サンプルネタを細かく分解し、それをさらに組み替えて別のフレーズを作り出す「チョップ&フリップ」の技術のすごさを体感するため、ブラック・スター(Black Star)の「Little Brother」を取り上げる。

Play:Roy Ayers「Ain’t Got Time」

星野源
星野源

この時点でこの曲、鬼クソかっこいいっすよね。

ヨシかいせついんがコメントする。

ヨシかいせついん
ヨシかいせついん
  • ロイ・エアーズはヒップホップの元ネタによく使われる
  • この曲ではほぼ全編でロイ・エアーズの声が入っており、演奏だけになる部分がすごく少ない
  • つまりサンプリングできそうなところがほとんどない

続いて、ディラのビートを聴く。

Play:Black Star「Little Brother」

ヨシかいせついんがコメントする。

ヨシかいせついん
ヨシかいせついん
  • この曲は「史上最もクレージーなサンプリング」「これまでに作られたヒップホップ曲の中で最も複雑な構造のもの」と言われている
  • ディラは1秒以下の声や演奏の断片を数十個ぐらい切り出して、それを一つの流動的なループに作り上げた

それを受けて星野源がコメント。

星野源
星野源
  • ロイ・エアーズの声が入っているから「あっ、ここからなんだな」って分かるが、全く違う曲になっている
  • ビートが鳴っていないところはもともと入っていた音にしてるのか、その余韻だけ違うところを組み替えて違うコード進行を作っていってるのか
  • 1秒以下って思うと多分それぐらいやってるんじゃないか

林田アナに「同じ音楽家として職人的というところで感じるところはあるか?」と聞かれ、星野源が答える。

星野源
星野源
  • ディラの好きなところは「俺はこれでいいと思う」という割り切り方、それが飛び抜けてる気がする
  • 常識に囚われない感覚はすごくすてきだと思う

映画『The Hurricane』のサウンドトラックに収録された、Black Star「Little Brother」のビートがとんでもない作りになっていることはディラ好きには有名な話。
そのすごさは実際の音を使って詳しく解説した動画(Youtube)を見ればさらに理解できるはず。

時間が限られていたので仕方ないですが、Slum Village「Fall In Love」みたいなシンプルなループで作られたビートを先に紹介していれば、この曲のフリップのすごさがより体感できたかな?

ディラのビートに影響を受けた様々なジャンルの曲

「ディラが作り出した独自のビートが、ヒップホップにとどまらずソウル・ジャズなどさまざまなジャンルの音楽に影響を与えている」というナレーションと共に下の3曲が流れる。

BGM:Kendrick Lamar「How Much A Dollar Coast」

BGM:Hiatus Kaiyote「Nakamarra」

BGM:Robert Glasper Experiment「Afro Blue feat. Erykah Badu」

ヒップホップ、ソウル、ジャズ、まさに完璧な選曲

ナレーション(林田アナ)
ナレーション(林田アナ)

ここからは中でもその影響が強く感じられるアルバムを紐解いていきます。

ここから『Voodoo』の話になるんだけど、『Voodoo』がディラから受けてる影響は上の3曲とはまた違った、もっと直接的な影響だと思うんだよな…

D’Angelo『Voodoo』について

ヨシかいせついんによる説明。

ヨシかいせついん
ヨシかいせついん
  • 2000年発表、D’Angeloのアルバム『Voodoo』
  • ディラのクレジットはないが、彼が大きな影響を及ぼしていると言われている
  • ディアンジェロはディラのトレードマークと言える揺らぎのある少しもたったビートを取り入れた
  • ディアンジェロと参加ミュージシャンはひたすらディラの曲を聴いて研究した
星野源
星野源

僕も大好きでめちゃくちゃ影響を受けております。

ディラの影響がが分かりやすい曲として次の曲が流される。

Play:D’Angelo「Playa Playa」

星野源が『Voodoo』についてコメント。

星野源
星野源
  • 自分もこのアルバムがすごく好きで研究した
  • ただ安定感がないわけじゃない
  • 安定しているところと安定していないところが計算されている
  • ものすごくこだわって作られているのが分かる
ヨシかいせついん
ヨシかいせついん

レコードからサンプリングして作った、ある意味でいびつな音楽が実際に楽器を演奏するプレーヤーにたくさんのインスピレーションを与えてるっていうところに痛快さを感じますよね。

でも「ディアンジェロはディラに影響されたんじゃなくて、ディラと同時期に自ら揺れるビートを編み出した」って、The RootsのQuestloveが語ってるインタビューもあるんだよな…

ディラの本ほど話題にならなかった気がするけど、同シリーズのディアンジェロ『Voodoo』がテーマ本も出てるんですよ。

星野源が「揺らぎ」を意識して作った曲

林田アナに「星野さんにもそういう曲があるんですよね?」と聞かれ、星野源が答える。

BGM:星野源「湯気」

星野源
星野源
  • 2011年に「湯気」という曲を作ったら、「Voodoo」みたいと言われた
  • その時は 「Voodoo」を知らなかった
  • 聴いてみたら「うわっ、これ俺がやりたかったやつ」ってなった
  • そこからいろいろ紐解いていき、ディラにも行き着いた

Twitterで騒がれている「星野源は2011年まで『Voodoo』を知らなかった!」のソースはここですね。

私としては『Voodoo』を知らない人がそれとよく似たものを生み出せるほどに、ディラやディアンジェロの影響がジャンルを越えて浸透していたことの証明になる良いエピソードだと思うのですが。

星野源が今度は意識的に『Voodoo』を模した曲について語る。

星野源
星野源

その中で「ダスト」という曲があってですね。それが一番分かりやすいかなということで…

Play:星野源「ダスト」

星野源
星野源
  • レコーディングは揺れないようにクリック(楽曲のテンポに合わせたガイドリズム)を聴いてするもの
  • 「Voodoo」を聴いてクリックを使っていないのかなと思って、使わないでわざと揺れるようにやってみた
  • そしたらそれはそれでちょっと違った
  • やればやるほど全然たどり着かないっていうことが分かる
  • 自分はギターで作っていたのでどうしてもフォーキーな曲が自然と出てくる
  • そのフォーキーな曲と自分がやりたいネオソウルだったりソウルミュージックっていうものをどうやって混ぜていこうかっていうのを実験としてどんどんやっていった

真似できそうで真似できない揺れ。日本のビートメイカー Bachlogicも、インタビューで『変にJ Dillaを解釈すると痛い目に遇う。』と似たようなことを語っていますね。

星野源といえばダンサブルな曲のイメージが強いですが、こういう曲も積極的に押し出してJ-POPの流れを作ってほしいですね。

ディラの最期

林田アナが紙芝居でディラの最期について触れる。

BGM:J Dilla「Dilla Says Go」

林田アナ
林田アナ
  • 長期の入院を余儀なくされた
  • 病院に機材を持ち込み、音楽を作り続けた
  • 亡くなる3日前に発表されたアルバム「DONUTS」は世界中で愛される名盤になった

トシかいせついんが補足する。

トシかいせついん
トシかいせついん
  • 世界中のプロデューサーが擦り切れるほど聴いているアルバム
  • 随所に死を意識したビート作りが窺える
  • 一番よく分かるのが「Workinonit」」という曲
  • 元ネタはイギリスのロックバンド10ccが1974年に発表した「The Worst Band in the World」
  • この中で「fade me(俺を消し去ってほしい)」と繰り返されるフレーズがある

Play:10cc「The Worst Band In The World」

続けて、ディラが同フレーズを使った部分が流れる。

Play:J Dilla「Workinonit」

聴き比べを終え、トシかいせついんがコメントする。

トシかいせついん
トシかいせついん
  • 「fade me」が「save me(自分を助けてほしい)」に聞こえるという解釈もある
  • こういう意味で『Donuts』にはいろんなメッセージが込められていると言われている

続けて、ヨシかいせついんがコメントする。

Play:J Dilla「Welcome to the Show」

ヨシかいせついん
ヨシかいせついん
  • 31曲目「Welcome to the Show」
  • 元ネタはマザーロード(Motherlode)の「When I Die」
  • 「私が死んだら」というタイトルの曲をサンプリングしてアルバム『Donuts』を締めくくっている

星野源がすかさずコメントする。

星野源
星野源
  • 「Welcome to the Show」が大好き
  • アルバムの締めなのに「ショーへようこそ」なんですね

「save me」はディラがそのつもりだったか分からないので「When I Die」の話だけで良かったような…

「Welcome to the Show」の話と合わせて、『Donuts』の1曲目が「Outro」になっている話も聞けたら良かったな。時間ないか…

マデュークスからのメッセージ動画

ディラの実母、マデュークスからのVTRが流れる。

マデュークス
マデュークス
  • ディラは音楽を作ることに感謝していた
  • 作品をよくするためにいつも模索し、満足せず、常によくなる方法を考えていた
  • 病院でも曲作りができるよう、ベッドから手が届く範囲に機材を並べた
  • 作業はしたがったが最期には手も届かなくなった
  • 『Donuts』は類を見ない傑作、病室で間近に見ていたから余計にそう思う
  • 彼は面会に来る人たちからアルバムの着想を得ていた
  • メッセージを私たちに届けたかったのだと思う
  • 俺がいなくなったら「さみしくなるだろ」ってね

ディラが「俺がいなくなったらさみしくなるだろ」と考えて、たくさんの謎が詰まった『Donuts』というアルバムを遺したと思うとグッときますね。

エンディング

星野源、締めの一言。

BGM:J Dilla「Time: The Donut of the Heart」

星野源
星野源

いや〜… 僕 よく考えるんです。

その… 音楽を作るという仕事をしていて、一回 倒れたこともあるので、その時に 自分は 例えば病院とかで音楽を作れるだろうかと。作りたい気持ちになるだろうかっていうのを考えることがあって。

でも できれば作品を作りたいなと思っていて、それをやり遂げたのがこのJ・ディラであり、この「Donuts」ってアルバムだなと思っていて。

本当に 遠い国の僕みたいなミュージシャンもそうですし、世界中に… 本当に世界中に彼のグルーヴだったり、ビートだったり、あとは 演奏力ですよね、そういうものに影響を受けてその人の中には もうJ・ディラが生き続けていて。

そういうアーティストっていうものに僕 憧れますし、最期まで ずっと作っていたっていうその姿勢みたいなものを 改めて見て、背筋が伸びる思いでしたね。 うん。

オチです。

星野源
星野源

星野さん今夜 「おんがくこうろん」初回はJ・ディラについて掘り下げてきましたけれども改めて いかがでした?

星野源
星野源

ヤベえ番組だなって思ってます。

ヤベえ番組をありがとう!星野源!NHK!

未公開トーク

あわせて読みたい
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両解説員によるデトロイトの街と音楽についての解説。本編に出そうで出なかったマッドリブ(Madlib)の名前も出てきます。

『Donuts』のタイトルについての解説もあります。

予習しておいた方が良さそうな名盤(←見事に的中しました!)

D’Angelo『Voodoo』
2000年リリース、R&B界屈指の名盤。
このアルバムに収録された「Feel Like Makin’ Love」は、星野源「Snow Men」に酷似しており、その他の曲からも星野源が影響を受けていることは過去のラジオでも言及されている。
おそらく今回の番組でもディアンジェロについて触れるのではないかと思う。


J Dilla『Donuts』
2006年リリース、病床で制作されたディラの遺作。
32歳の誕生日に発表、その3日後に本人は亡くなってしまう。このことが作品に重みを与えたことは事実だが、そうでなくてもこのアルバムはヒップホップビートの新たな潮流を生む起点となったはずだ。
音の断片を細かく切り貼りしたビートはまさにパッチワーク。元ネタを知ることで構造が分かったように思えても、サンプラーに取り込んでみると同じようには仕上がらないことに気付く、何層にも深い作品。
Stones Throwの事前ツイートにある通り、この作品を取り上げることは確定。


The Pharcyde『Labcabincalifornia』
1995年リリース、ディラの初期メジャー作品。
ここに収録された「Runnin’」はディラが手がけた代表曲の一つとして挙げられることが多い。
星野源は番組放送に先駆けて「Drop」をラジオでプレイしたそう。
(参考サイト)

miyearnZZ Labo
星野源『おんがくこうろん』第1回でJ.Dillaを選んだ理由を語る 星野源さんが2022年2月8日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でNHK Eテレで放送予定の『星野源のおんがくこうろん』についてトーク。第1回目の題材と...

放送後の反響

『Voodoo』がiTunesのR&Bアルバムチャートで圏外から5位に

「2011年まで『Voodoo』を知らなかったなんて」論争

放送への期待を募らせたツイート

Stones Throw 全面協力

予告動画

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